【コラム】寝ながらスマホ、何が起こっている?
滋賀県近江八幡市のピラティススタジオ「レジリエンス」のホームページをご覧くださり、ありがとうございます。
今回のコラムのテーマは「スマホ」
今や生活に欠かせないアイテム。
スマホ自体は約200gですが、意外と体に負担をかけています。
いつも背中が硬い・肩が凝る・腕がだるい等
もしかするとスマホが原因のひとつかも。
寝ながらスマホを見るリスクと対処法をお伝えします。
寝ながらスマホ、何が起こっている?
寝ながらスマホは首だけの問題ではありません。
スマホ・腕・肩・胸郭・背中を「身体がどう支えているか」から考えます。


1|まず知っておきたいこと
「スマホの重さだけが問題なのではありません」
身体への負荷は、スマホの重量だけでなく
①腕をどこで支えているか
②スマホと身体との距離
③姿勢を保持する時間
④片手か両手か
などで変わります。
成人の腕は体重の約5%、30Kg前後あります。
ポイント:「177gのスマホを持っている」ではなく「スマホ+手+前腕を、支持なしで保持している」と考えると理解しやすくなります。
2|なぜ首・肩への負担が生じる仕組み
スマホを身体から離して保持すると、肩関節から手までの距離が長くなり、肩周囲にはより大きな回転モーメントが生じます。さらに腕を宙に保持するため、肩・首周囲の筋群が持続的に働きます。
研究では、スマホ使用中に上部僧帽筋、脊柱起立筋、頸部伸筋などの筋活動増加や、頭部の屈曲・前方移動が報告されています。ただし、研究の多くは実験室研究であり、「スマホ使用=必ず痛みが起こる」という因果関係を証明するものではありません。
3|寝ながらスマホ:3つの姿勢を比較
「仰向け・横向き・うつ伏せで見ると身体への影響はどう違う?」
※上部イラストを参照ください。
研究上の補足:横になる姿勢を比較した小規模研究(23人)では、仰向け・うつ伏せ肘支持・横向きなどで頸部筋活動の違いが確認され、特に横向きでは左右差が大きくなりました。一方、この研究だけから「仰向けが最も安全」と一般化することはできません。姿勢だけでなく、腕の支持、画面位置、使用時間も重要です。
4|スマホ → 腕 → 肩 → 胸郭 → 首の負担の連鎖
寝ながらスマホでは、机や肘掛けのような支持面がないため、腕の重量を身体の筋肉で保持する場面が増えます。
肩が疲れると、肩をすくめる、肩甲帯を固定する、頭を画面へ近づける、といった代償が起こり得ます。
重要:これは「必ずこの順番で起こる」という病態モデルではありません。身体が負荷を分散する際に起こり得る力学的な連鎖として理解してください。
5|「重量×距離×時間」で負担は変わる
重量:スマホ+腕の重さが大きいほど負担UP
距離:スマホを身体から遠ざけるほど負担UP
時間:長時間が続くほど筋疲労が蓄積
負担を減らす3つの基本
✓ スマホを軽く持つ工夫
✓ 身体に近づける
✓ 時間を区切る・休息する
6|前腕・肘を支持すると負担を減らせる
改善の第一歩は「姿勢を正す」ではなく「支持する」
スマホ使用時に肘掛け・背もたれなどで身体を支持すると、首の屈曲、重力によるモーメント、首・肩周囲の筋活動が低下した実験研究があります。また、スマホ使用中に前腕を支持する装置を用いた研究でも、頸部・肩周囲の筋活動と疲労が減少しました。
実践:動画を見るならスマホスタンド。手で持つなら前腕をクッションや肘掛けに預ける。「スマホを軽くする」より先に、「腕を支える場所をつくる」ことを考えます。
7|ピラティスからの改善アプローチ
① 支持をつくる 前腕・肘を支え、肩周囲の不要な保持負荷を減らす。
② 胸郭を動かす 胸椎の伸展・回旋と呼吸を通して、胸郭の可動性を取り戻す。
③ 肩甲帯を動かす 「肩甲骨を下げる」だけでなく、胸郭上での上方回旋・後傾・滑走などを取り戻す。
④ 頸部を整える 首だけを引っ張るのではなく、頭部を胸郭の上で無理なく支持できる状態をつくる。
⑤ 使用環境を変える スマホスタンド、前腕支持、画面位置、片手操作の見直し。
まとめ
「スマホ首だから、首を伸ばしましょう」だけではありません。
寝ながらスマホでは、スマホの重量だけでなく、腕そのものの重量を支え続けます。腕を支えるために肩周囲が働き、画面を見るために首や胸郭の位置も変わります。だからこそ、首だけをほぐすのではなく、腕を支える・胸郭を動かす・肩甲帯を動かす・首を整えるという順番で考えます。
まず変えるなら:
① 長時間の「手持ち」をやめる
② 前腕を支える
③ スマホを顔に近づける
④ 同じ姿勢を続けない
⑤その後にピラティスで胸郭・肩甲帯・頸部を動かす。
エビデンスについて
スマートフォン使用と首・肩などの筋骨格系負担については複数の研究があります。2025年の系統的レビュー・メタ解析では、スマホの「過使用」と首痛の間に有意な関連が報告されました。ただし、対象研究は主に観察研究であり、因果関係を直接証明するものではありません。
また、スマホを横になって使用する姿勢については小規模な実験研究がありますが、「仰向け・横向き・うつ伏せのどれが絶対に悪い/良い」と断定できるだけのエビデンスは確認できません。したがって本資料では、姿勢の優劣ではなく「どこを支持できるか」「どの姿勢を長時間固定しないか」を重視しています。
※本資料は一般的な身体教育・運動指導を目的としたもので、診断や治療を行うものではありません。痛み、しびれ、筋力低下などがある場合は医療機関での評価を優先してください。

